こんにちは、ぱぱざんです。1月に新居に引っ越しまして、少しずつ生活が落ち着いてきました。
さて、運転免許を持っていない妻の日常的な機動力向上と、子どもの通園の送り迎えを目的に、電動アシスト自転車を買うことになりました。
色々と調べていく中で「最近の電動自転車ってすげーな!」という気持ちになり、久しぶりに記事を書き始めた次第です。
イマドキの電動アシスト自転車、ここがすごい
電動アシスト自転車を購入するにあたり、今回検討したのはパナソニックとブリジストンの二社でした。ヤマハあたりも検討してもよさそうでしたが、自転車屋さんでちょうどカタログが切れてたので断念しました。
「まあどちらもそんなに違わないでしょ」と思いながらカタログを読み始めたのですが、なかなか眼を見張るところがありまして、楽しませてもらいました。特に面白かったのが次のような機能たちです。
- ラクイック(パナソニック)
- 両輪駆動(ブリジストン)
- モーターブレーキ&回復充電(ブリジストン)
- ベルトドライブ(ブリジストン)
それぞれ紹介していきます。
ラクイック
ラクイックは「鍵が近くにあるときに電源を入れると勝手に鍵が開く」システムです。
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最近の自動車に乗ったことがある方は「それスマートエントリーやんけ……!」という感想を持ったのではないでしょうか。自動車業界が次々と対応しているシステムを、自転車にも取り込んだのです。
電源の確保が容易な電動アシスト自転車ならではの機能ですね。
筆者はスマートエントリーのユーザー体験がめちゃくちゃ好きなので、これはかなり購買意欲をそそられました。(なお、妻にはさほど響いてませんでした)
両輪駆動
両輪駆動は「前輪も自力で回る」システムです。
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自動車の四輪駆動と似たようなものですね。自動車との違いとして、四輪駆動では同一の動力で前後のタイヤを動かしていますが、この両輪駆動ではペダルを漕いだ力が伝わるのは後輪だけです。前輪は電力を与えられて、モーターが独自に回転しています。
生まれも育ちも雪国で、四輪駆動と共に生きてきたドライバーな筆者としては、ちょっと感動するポイントでした。自転車の文脈で本当に役立つのかそれ、というのは一旦脇に置いておきます。たぶん上り坂で一度止まって再発進するときとかには嬉しいと思います。
モーターブレーキ&回復充電
最後に、モーターブレーキと回復充電です。ひとつの仕組みを別々の側面から見ただけのものだと思うので、まとめて紹介します。
モーターブレーキは「ブレーキをかけたときに前輪のモーターで抵抗をかけて止まりやすくする」仕組み、回復充電は「モーターブレーキでかけた抵抗を使って充電する」仕組みです。
理科の実験に覚えがある方はお察しのとおり、モーターに外から力をかけると発電するという現象を活用しているのですが、面白いと思った点はそこではないので、それぞれ解説します。
モーターブレーキ
前述のとおり、モーターブレーキは「ブレーキをかけたときに前輪のモーターで抵抗をかけて止まりやすくする」仕組みでした。
これ、仕組みはだいぶ違うものの、使用感としては自動車のエンジンブレーキに近い感じだと思うんですよね。ブレーキパッドとホイールの摩擦で回転数を落とすのではなくて、もっとシャフト側で回転数を落とそうとしてくれるあたりはそっくりです。
下り坂で通常のブレーキによる減速を続けているとブレーキが効かなくなってしまうので、エンジンブレーキを中心に減速するように、というのは自動車学校でも学ぶ基礎ですが、自転車でも長い下り坂を降りる場合には同様のことが言えるはずです。モーターブレーキは、こういった観点でとてもいい仕組みだと感じました。
なお、ブリジストンの場合は発動条件が「後輪ブレーキを軽く握ること」なので、自動車のように減速をエンジンブレーキだけに任せるようなことはあまり想定していないようです。モーターブレーキだけが発動する絶妙な握り具合を会得すれば、できるかもしれませんね。
回復充電
前述のとおり、回復充電は「モーターブレーキでかけた抵抗を使って充電する」仕組みでした。
これ、ハイブリッド車や電気自動車に搭載されている回生ブレーキにそっくりなんですよね。
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自動車の回生ブレーキもブレーキをかけたときの負荷を発電に使うものでした。電動アシスト自転車にもこの考え方が持ち込まれているのは面白いです。
ブリジストン以外にもある
なお、ブリジストンはこの方式で充電を行っていますが、他者も回復充電の仕組みは持っていて、例えばパナソニックは坂を下っているだけで適度に負荷をかけて充電してくれるようです。自動車でいうエンジンブレーキのみで減速する方式が下り坂で常時発動しているイメージでしょうか。
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しかし何故かパナソニックのカタログではこの辺の記載が無く、今でもこの仕組みが用いられているのかは分からないのでした……。パナソニック的には「もうこの業界では回復充電くらいあって当たり前なのでセールスポイントにならない」という判断で載せてないのだろう、と好意的に解釈しています。
ベルトドライブ
ベルトドライブは「チェーンの代わりにベルトでペダルと後輪を繋ぐ」仕組みです。
自転車のチェーンって外れると面倒なんですよね。慣れれば付け直せるんですが、外れないでくれるならそれに越したことはありません。その点で、外れない(という触れ込みの)ベルトドライブはとても魅力的です。
この話題、自動車乗りにとってはちょっと面白いところがあります。
自動車の「ベルト」と「チェーン」
自動車のエンジンには、駆動した力を伝えるための「タイミングベルト」という部品があります。これも高温のエンジンの中で動くものなので、そこそこの耐久性があるのですが、長く走るうちに切れてしまうため、高齢化したときのメンテナンス対象としては頻出のものです。
この課題を解決するものとして「タイミングチェーン」というものがあります。タイミングベルトの役割をチェーンに担わせたもので、耐久性に関してベルトより上です。ただ、ゴム樹脂製のタイミングベルトに比べると、コストが高かったり静粛性が低い(マイルドな表現)などの理由から、採用されるケースは少なめでした(Wikipedia情報)。筆者がこれまで乗ってきたアルトワークスやKeiワークスはタイミングチェーンだったので、実はタイミングベルトの交換というメンテナンスをしたことがありません。
自転車の「ベルト」と「チェーン」
ベルトドライブの採用理由について、ブリジストンは「メンテナンスフリーである」と言っています。自動車のときと、ベルトとチェーンの立場が逆なんですね。各種の前提条件が違うので、単純に比較はできないのですが、こういう話はめちゃくちゃ好きです。
ベルトはベルトでコスト高だったりするのかもしれませんし、何らかのデメリットはあると思うのですが、それも含めて、今後の自転車業界でどういう立場になっていくのか*1、興味がありますね。
まとめ
イマドキの電動アシスト自転車の面白い特長を紹介しました。
どれを見ても自動車のノウハウが良い形で持ち込まれています。メーカー側は「電気と人力のハイブリッド自動車」か何かだと思っているのかもしれません(笑)
いやあ、ホント全部面白くて、どれにしようか迷いますね……